貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》我家
飛んでいくソイツを見ながら、そんな事を思った。
家に着いたのは、陽が傾き夕方と呼べるような時間だった。ボロいアパート。そう表現するのが一番しっくりとくる建物。悲しい事にこの建物が今のオレの家である。
(地震が来たらここが一番に崩れるな…)
この地方に地震が来ない事を祈りながら部屋に向かった。
「あらあら〜、景気の悪い顔してるわねぇ。」
「悩み多き年頃なんですよ、美春さん。」
うふふ、と笑いながら話しかけてくる女性。このアパートの大家兼管理人の椎名美春さんだ。ちなみにオレの叔母さんでもある。
「そうなの?あたしでよかったら聞くわよ〜。」
「いえ、覚悟は決まってますので…」
このアパートの耐久度に不安を抱えてるなんて言えない…。
「そう?何かあったら遠慮なく言ってね。」
そう言って自室に戻って行った。
このアパートは1階が美春さんの部屋、2階が貸部屋となっておりオレ以外にあと二人住んでいる。
3つある部屋の真ん中、202号室がオレの部屋だ。
「ふぅ〜」
部屋の中に入り、熱いお茶を一杯飲んで落ち着く。
「で?何をしているんだ?勝也」
万年こたつでのうのうと雑誌を読んでいる侵入者に、飲みかけのお茶をかけた。
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