《MUMEI》
愛は会社を救う(59)
「初めてだったんです。仕事をして、褒められたり感謝されたりしたの」
店の一角では、ラフな身なりをした大学生風の男女がコンパに興じていた。
由香里も学生ならば、今頃は会社訪問をしている年齢。
だがすでに社会人として、彼らより着実に一歩先を歩んでいる。
そう考えると、ある種の感慨を禁じえなかった。
「会社の中で何をしたら役に立てるのか、どうやったら足りない所を補えるのか、全部、赤居さんから教えていただきました。だから…」
いつになく熱っぽく語る由香里をいなすように、私はやんわりとこう応えた。
「私は隠されていた情報を開示して、あなたに託しただけです。その情報を活かすことができたのは、全てあなたの判断、あなたのお働きですよ」
私はあくまで由香里の功績を強調した。事実、そう考えていた。

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