《MUMEI》

「いててっ、叩くなって」

「だったら早く放しなさいーッ」

「嫌なら放してやってもいいけど?」

「‥‥‥‥‥‥‥」





那加は、

途端に暴れるのを止めた。





「‥や‥やじゃなかったら何だっていうの‥?」






赤くなって、

那加は首を回して俺の方をを振り向く。





「何よ、何笑ってるのよ」

「だったら放さなくてもいいだろ?」





そう訊いたら。





「なッ‥冗談じゃないわよっ、ぁ‥あたしはっ、あたしは‥」





途端に慌てふためく那加。





可愛い、

と思う。

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