《MUMEI》

「ん? ぁ──悪い悪い」

先生は立ち止まって、

あたしが追い付くのを待ってから、


また歩き出した。

「ごめんな、何か無理矢理付き合わせて」

「ぃゃ、無理矢理とかじゃないし‥」

「ありがとな──」

「‥頭撫でなくていいですから‥」

「嫌か?」

「やじゃないです‥けど」

けど‥

まだ慣れてないし‥。

先生の手‥

大きくて、

重たくて‥。

「ねぇ、何か今日暑くない?」

「もう夏だからなぁ」

「アイス食べたいな──。コンビニ寄ってこ?」

「じゃあ奢ってやるな」

「マジっ? ラッキー♪」

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