《MUMEI》
世界中の誰よりもその1
宮流汐那と霧桐龍之介の二人が出会ってから、実に二週間もの月日が経過した。
最初はメールのやり取りや電話のやり取りだけだった。
龍之介も、汐那とは何故か緊張せずに話せる自分に
嬉しさが止まらないと言った具合だ。
そして、クリスマスも近付いてきた十二月の下旬。
龍之介は一つの決意を固めて汐那に電話を入れた。
プルルルル……
プルルルル……
プルル……ザザ…
「もしもし?」
「あ、龍之介、だけど。今いいかな?」
「あ、はい!」
少し遠慮しがちな龍之介の言葉に、汐那は元気な声で返事をくれた。
「どうしたんですか?」
「えーと、明日なんだけど、何か予定って入ってるかな?」
「明日ですか? えっと…ちょっと待ってて下さいね」
汐那は何かを探すように、電話越しに「あれ?」や「どこだっけ?」などと
独り言を漏らしながら捜索を開始しだした。
「あ、お待たせしました! えっとですね、明日は丸々一日大丈夫です」
「あ、本当? あの、それじゃ明日、お昼に僕のアルバイト先で
待ち合わせって出来るかな?」
「はい、大丈夫です!」
元気の良い返事が届き、龍之介は自然と笑顔になる。
「それじゃ、明日」
「はい、楽しみにしてます!」
ピッ
「はぁ〜…」
電源OFFを押して電話を切り、龍之介は大きくため息を吐く。
「き、緊張した…拒否されたらこれ、立ち直れそうに無いや」
一人、最悪のパターンを想定して皮肉な笑みを浮かべながら、
それでも勝手にやり遂げた感に浸る龍之介だった。
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