《MUMEI》

「昔はよく蝉捕りとかやったなぁ」

「先生なら今でもやりそうだよね」

「たまにはやるな──確かに」

「やっぱやるんだ‥」

「ほんとにたまにな」

「へぇ‥」

って‥

言ってる側から何か蝉捕り体勢に入ってない‥?

「──ほらっ」

「ぅわッ」

「ぁ‥悪い、苦手だったか‥?」

「いきなりだからビックリしただけ‥」

「悪い悪い」

先生は苦笑して、

掴んでた蝉を元いた枝に戻した。

「蝉捕り上手いんだね──」

「ん‥どうかなぁ」

「上手いよ、あたし全然そういうのダメだし」

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