《MUMEI》

「俺は綿飴よりリンゴ飴だからさ」

「へぇ、リンゴ飴好きなんだ」

「祖母ちゃんに毎年買ってもらってたからさ──、ぁ、わたあめも嫌いじゃないけどな」

「シロって‥お祖母ちゃん子なんだね、今思ったけど──」

「そうだなぁ、確かに言われてみれば」

「言われたりしなかったの?」

「んー‥たぶん言われなかったなぁ」

「ふーん、じゃあそれはそれで良かったのかもね」

「良かった──」

「そんな気しない?」

「する‥かもな──」

「ぁ、リンゴ飴あっちに売ってるよ」

今度はあたしが、

先生を引っ張った。

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