《MUMEI》

金魚掬いとか、

射的とか──

色んな屋台が出てる。

「ゎぁ‥」

「なぁ、これどうだ?」

「ぇ?」

「この指輪とか──」

「!?」

「取りあえず仮のって事で。な?」

「か‥仮‥?」

婚約指輪の事‥?

「ぇ、早過ぎじゃない‥?」

まだ親すら、

あたし達の事知らないのに‥。

「なぁ」

「?」

「ちょっと手貸してみてくれるか?」

「手‥?」

言われるがまま、左手を差し出すと。

薬指に、

はめられた。

夕焼け色の玉が付いた指輪が。

「おー、似合う似合う」

「ぇ‥」

何か照れるんだけど‥。

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