《MUMEI》

「いや、全然」

「ぇ、じゃあ何で──」

「たぶん、俺達が気兼ねしないようにって」

「ぇ」

詠子さん──

まさか‥?

「ぇ、じゃあ‥」

ほんとは来たいんじゃ‥。

「ぁ‥おい、どこ行‥」

「詠子さん連れて来るから」

「───────」

「シロ?」

「そうだな、祖母ちゃんにも楽しんでもらわないとな」

「先生も行くの?」

「だってさ、夜道を独りで歩かせる訳には行かないし」

「あたしはさらわれないから大丈夫だけどな──」

「通り魔がさらわなくても、俺がさらうから」

「ぇ」

な‥

何言っちゃってんの先生‥。

てか、

前にもそんな事言ってたような‥。

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