《MUMEI》 少し生暖かい風が吹いてきたのか… 辺りはすっかり緑奥に囲まれた深い森へと変わっていた 最初に見た三日月の薄蒼い光の中で銀色の流れが銀河のように浮かびあがる… 時折ざわ…ざわ…と、縺れる音が聞こえてくるのは 風に揺れる木々のハーモニーか… …通称ビルはその汚らしい歯をヒューと鳴らしながら小川を覗き込んでは見えなくなった皿の行方を探していたが… 「…九ちゃん……そろそろだべよ…… 」 不意に…鼻糞をほじりながら珍しく緊張した様子で小川を見渡していた通称ビルが…ボツリと言った… 「えっ?何が………? …河童が?…九ちゃんが…どうなるんだい?… 」 ソレを聞いた宏介は…コンドル一号二号の懐かしい場面を想い描いていて皿の事等すっかり忘れていた… 「…オイラたちがナ…… ここまでほっておくとよ… 変わるんだよ…九ちゃんは… まぁ……その方が九ちゃんも楽になるってこったがな………ヒヒ ヒ(笑) 」 声は小さかったが…通称ビルの(笑)い声はなんとも下品なままだ… 「おぅ! 」 通称ビルが突然声をあげて上空を見た すると…緑灰色のちぎれ雲の中から突然大きな鳥が飛び出してこちらへ向かって来ている 「不死鳥だべサ…… お〜い! 」 通称ビルはこちらへ向かってくるその鳥に向かって手をふりながら叫んだ その鳥は……淡い赤や青…緑色等が七色に積み重ねられた美しい翼を持つ… 大きな鳥だった 前へ |
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