《MUMEI》 「日向が?」 「だって俺──那加の召使、だろ?」 そう言ったら、 那加が笑い出した。 「──召使なのに騎士みたい」 クスクス、 と笑いながら、 那加は俺の腕に収まっている。 「でも、ちょっとだけだからね?」 「桜、まだ咲いてるみたいだしさ、ジュースでも買ってそこで飲まないか?」 「うん‥、日向も半分飲んでよ?」 「分かってる」 「じゃあ早く行こっ」 那加の目が、 キラキラしている。 忘れかけていた少女らしさが、 戻ってきたみたいだ。 前へ |次へ |
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