《MUMEI》 魂のおと菊若は静かに、ため息をついた。 「心配か。」 背後から、低い声がした。菊若は驚きもせず、振り向く。 侍が、立っていた。 「だって・・・幸四郎様。正吾さんは、私の友達なんですよ?」 目を伏せる菊若に、幸四郎はそっと微笑んだ。 「そうだな・・・あなたは、あの人を気に入っていたから。」 幸四郎の手を、菊若が握る。菊若は、またため息をついた。 「お熱いわねぇ。」 今度は、遊廓の華のような女が現れる。 続いて、職人姿の男も出てきた。 菊若は、微笑んだ。 「明雪姐さんも、いらしましたね。では・・・。」 前へ |
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