《MUMEI》
「あれはなんでも無いんだからね!」
なづきは強く言って余計墓穴を掘った気がした。
「14頁の問1にー。」
和成はまるで聞いていない。
「アンタ、変わったね。」
なづきは独り言を言う。
「そう?六車が変わらないだけだよ。」
和成を横目でチラ見した。
そうかもしれない。
和成は昔のか弱い柔らかい表情から、すっかり男性的な逞しい顔つきになっていた。
それに、
「苗字で呼ぶようになった。」
「はは、そういやそうだ。
名前で呼んでたね。
苗字だと違和感でてきた。また名前で呼んでいい?」
呼び方まで規制されてしまうなんて、面倒な世の中だ。
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