《MUMEI》

優しい春の風が
虚しく通り過ぎていく…。


誰もいない公園の
片隅にあるベンチに
腰掛けながら
いろいろ考えた。



…やっぱり…

悪いのは、
俺だよな…。

あんなことで
キレなきゃよかったんだ。

透にまで
迷惑かけて…。

謝らなくちゃな…。




ゆっくりと立ち上がり、
公園を出ようとした…



その時…











━━「優也くん━…?」










ずーっと、

関わってなかったのに、

ずーっと、

避けてきたのに、


声を聞いただけで
誰か分かっちまうなんて


やっぱり俺は…









「……萌…」









.

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