《MUMEI》

「兄貴、見て見て制服ー。学ランと違ってブレザー着にくいね」
静流は居間のテレビの前に立ち塞がりくるっと1ターンした。

「静ちゃん見えないよぅ」
涙華が顔をしかめる。
彼女は今年小学六年生になった母側の血縁で従姉妹だ。
静流と並べると二人は兄妹にしか見えない。


「あ、二人とも俺のリング知らない?」
静流は引き出しを開け閉めして漁り始めた。

「知らないよ、邪魔ー!」
涙華は首を左右に振る。

「俺も」

「シルバーで高かったのに!二人とも自分の持ち物とか部屋の中、探しておいてね。」
静流は一定した場所に物を整頓出来ない。悪い癖だ。


「静ちゃんの机は汚いからそこになかったら、絶対みつからないね」
涙華が耳打ちした。

思わず二人でクスクス笑いが零れる。

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