《MUMEI》
前夜祭終了
結局優勝は、フラダンスを踊った女子テニス部だった。


前夜祭終了後。


『同じ顔で恥ずかしい事すんな!』と、頼に怒鳴られる厳と


『可愛かったよ〜雅樹!』と、ハイテンションな祐に絡まれる葛西先輩を見かけた。


「それにしても、何で今年はあんなのにしたのかしら?」

「さぁ」


サッカー部三人組は、他の部員達といるから、俺は志貴と教室に戻ろうとした。

「あんなのとは酷いな〜」
「「え?」」


俺達が振り返ると


小柄な巫子姿の少年がいた。


(あれ、この人って確か…)


一見一年生に見える少年を、俺は去年も見た事があった。


「今年は俺が考えたんだぞ!」


エヘン!という効果音が付きそうな笑顔の少年は


先輩で


柔道部の部長だった。


「そりゃ、大蔵(おおくら)先輩には似合うと思いますけど…」

「去年は雅樹に合わせたから、今年は俺に合わせて何が悪い!」

「優勝、逃しましたよ?」

「いいんだよ、お祭りなんだから!」

「そうですか」

「うん! じゃあ!」


志貴と会話を終えた大蔵先輩は、笑顔で去っていった。


(ま、いいか)


葛西先輩はよくないだろうが、俺はそう思った。

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