《MUMEI》
キング不在の吾妻高
《マスコット、ね…》

「変だよな」


夏休みが終わってから、俺はまた忍にメールではなく電話で報告するようになった。


《お前の学校、キングはいないのか?》


(俺の話は無視か)


「聞いた事はないな。入学当初は厳と頼は王子って呼ばれてたけど。今は、たまに頼が呼ばれる位だな」


厳と頼は、日本人の血は四分の一しか流れていない。


その、日本人離れした欧米風の美貌から、最初はそう呼ばれていた。


…が


厳は、三枚目的な性格だったので、すぐに言われなくなり


頼も、…俺に時々セクハラするから、徐々に言われなくなってきていた。


(そういえば…)


「忍の学校にはいたのか?」

《…いたな》

「どんなヤツ?」

《やっぱりいない》

「どっちだよ!?」

《いいから、文化祭頑張れ》

「お…」


プツッ


ツー、ツー、ツー…


(話したくないくらい、嫌なキングだったのか?)


少し、気になった俺は、今度はメールをして…


忍が学生の頃、通っていた名門校に、中学・高校共に生徒会長だった雅(みやび)という先輩がいた事を知った。

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