《MUMEI》

夜9時を回らない内に、

那加は寝てしまった。





薄暗い病室に、

柔らかな月明りが満ちてくる。





「ひなたぁ‥」

「ぇ」





声がした、

ベッドの方を向く。





那加が、

横になったまま俺を見ていた。





「どうした‥? 怖い夢でも見たのか‥?」




訊いたら、

那加はただ、

小さく頷いた。





「手‥握って」

「──ぁぁ、分かった」





ベッドのすぐ脇に膝を突いて、

那加の手を握ってやる。





「付いててやるから、大丈夫だからな」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫