《MUMEI》

「‥うん‥」





弱々しく頷いて、

那加は俺の手を握り返してきた。





「──ねぇ日向‥」

「ん」

「ありがと、ね」

「ぇ──」





那加が、

笑った。





天使みたいな笑顔で。





「ちょっと、何か返事位しなさいよ」

「‥ぇ、ぁぁ‥」

「何よその返事──‥、ちょっと、笑わないでよ」

「──可愛いよな、那加って」

「!?」





暗がりでも、

ハッキリ分かった。





那加が、

赤くなっているのが。





「ばかっ、そ‥そんな事言われても‥全然嬉しくなんかないんだからっ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫