《MUMEI》 「‥うん‥」 弱々しく頷いて、 那加は俺の手を握り返してきた。 「──ねぇ日向‥」 「ん」 「ありがと、ね」 「ぇ──」 那加が、 笑った。 天使みたいな笑顔で。 「ちょっと、何か返事位しなさいよ」 「‥ぇ、ぁぁ‥」 「何よその返事──‥、ちょっと、笑わないでよ」 「──可愛いよな、那加って」 「!?」 暗がりでも、 ハッキリ分かった。 那加が、 赤くなっているのが。 「ばかっ、そ‥そんな事言われても‥全然嬉しくなんかないんだからっ」 前へ |次へ |
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