《MUMEI》

「はぁ‥」

「那加、どうした‥?」





誕生日なんだから、

那加にとっては嬉しいはずだ。




──だけど。




「‥‥‥‥‥‥‥」

「那加?」





何だか、

那加は憂鬱らしい。





「ケーキ‥」





ボソッと呟いた、

その言葉。





那加は、

まだケーキを食べられない。





消化に悪い、

という理由で。





だから、

那加は毎年、

誕生日に憂鬱になる。





「誕生日なのに‥」

「スポンジは駄目だけどさ、ちゃんとケーキは用意してあるから」

「うん‥」





那加は、

渋々頷いた。

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