《MUMEI》
年下の彼女【詩郎side】
□■□

陽が落ちてきて、

教務室に戻ろうと思って階段を降りていた時だった。

「あ、カスガイ先生屋上に行ってたんですか?」

「!?」

三谷先生‥。

「はい、ちょっと夕焼けを‥」

「好きなんですね〜」

「はい、まぁ‥」

それとなく答えたけど‥

内心、

俺はドキドキだ。

夏休み前、

佐原と遊園地に行った時‥

三谷先生を見掛けた。

もしかしたら、

気付かれてたんじゃないか‥

それが心配で仕方ない。

「あ、そうそう──私7月の末に子どもと遊園地行ったんですけどね?」

「‥!!」

背筋が凍るような感覚がした。

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