《MUMEI》

「それで──ビックリしたんですよ私」

「‥何に‥ですか‥?」

「ティーカップの所に向かってたら、何と佐原さんが年上の彼氏連れて歩いてたんですっ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

見られてた‥。

「で、その彼氏がカスガイ先生にそっくりで──でもすぐ見失っちゃったんですけどね」

「は‥はぁ」

俺だって事はばれてなかった‥

みたいだ。

「どうしたんですか? 何か疲れたみたいな顔してますけど──」

「ぃぇ、ぁ‥、俺‥教務室戻りますね」

そう言って、

俺は逃げるように教務室に向かった。

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