《MUMEI》

「日向がやりたいっていうなら‥やってあげてもいいけど」

「ぇ、ほんとに‥」

「早くトランプ出して」

「ハイ、姫サマ‥」





そうだよな‥

気が変わる前に‥。





「何やるの?」

「那加はやりたいのあるか?」

「あたしは‥別に何でもいいけど‥」

「ババ抜きやるか、じゃあ」

「うん‥」





何でか、

那加は照れている。





たぶん、

こんな風に2人でゲームをやるのは久し振りだからだろう。





俺も、

何だかいつもより心臓がうるさい。





順番に、

お互いのトランプを引いていく──

ただそれだけの事なんだけれど。





何だか、

ドキドキさせられる。

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