《MUMEI》 「‥面白い、か‥」 とにかく‥ ばれなくて良かった‥。 「──あっ、お帰りなさいお兄ちゃん!」 「ただいま──」 いつも、 母さんより先にリビングから出てくる詩織。 「今日は千代子ちゃんとどうだった?」 「ぁぁ──屋上で一緒に夕焼け見ながらメロンパン食べて来た」 「わぁ、良かったね──」 「詩郎もいつの間にか、すっかり男になったわよね〜」 「ぇ、男‥?」 「あの初恋以来、そうううのなかったじゃない?」 「まぁ‥確かに──」 俺は、 あの時以来誰かを好きになる事はなかった。 前へ |次へ |
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