貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
我家(2)
「!!?!?」
その侵入者は声にならない声をあげて、のた打ち回る。
「お前はいつも楽しそうだな〜。その愉快な脳みそを少しわけてくれよ。」
台所に走って行く侵入者を見届けてから、こたつに入る。
しばらくすると
「……なぁ、お前ボクになんか恨みでもあるの?」
背中を真っ赤にした男が戻って来た。
「いや、特にないぞ。」
淹れなおしたお茶をすすりながら答えてやる。
「なら、なんでボク熱湯かけられたんすか!?」
「知らん。ウザかったからだろ。」
「NAGEYARI!?」
このウルサい奴は佐藤勝也。18歳で隣の203号室に住んでいるフリーター仲間、もとい舎弟だ。
「舎弟じゃねぇ!」
「人の心を勝手に読むなっ!」
背中を平手で叩いてやった。
「ひぃぃっ!」
再びのた打ち回る勝也。
「お、鬼…」
「鬼じゃねぇ。神と呼べ。」
「何様だよ!?」

いつもの様にさわいでいると隣の壁がドンドン、と鳴った。続いて
「うるさいぞ!お前ら!」
と、怒声が轟いた。
「まずっ 林檎さんだ。」
途端にオタオタし始める、チキンな勝也。
無理もない。コイツは以前、林檎にガスコンロで根性焼き(強制)をやらされトラウマになっているのだ。

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