《MUMEI》 僅かな自由時間文化祭二日目。 (いよいよだな) 今日は、午後から演劇部の劇の発表がある。 (早めに行かないとな) 俺は準備に時間がかかるから、他の出演者より早く体育館に行く事になっていた。 「じゃあ、今日は三年二組だけ?」 「あぁ」 志貴の言葉に、俺は頷いた。 (面倒だけどな) 三年二組は、演劇部部長のクラスで、売り上げに貢献するようにと部長命令が出ていたのだ。 「じゃ、行きましょう」 「あぁ」 俺と志貴は三年二組の教室を目指した。 今日は、俺達はクラスの仕事は無いが、サッカー部三人組は昨日と同じ役割があるから、珍しく二人きりだった。 (拓磨にとっては不本意だけど、仕方ないよな) 今のうちに当番をやっておかないと、劇が見れないのだから。 そんな事を考えていると、目的地に着いていた。 『アニマル喫茶』 (どんな店だ?) 志貴と二人、首を傾げながら、中に入った。 「いらっしゃいだわん!」 「「あ」」 笑顔でこっちに来た店員?に、俺と志貴は同時に口を開いた。 それは、前夜祭で会った大蔵先輩だった。 前へ |次へ |
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