《MUMEI》
アニマル喫茶
「二名様御案内だわん」

「いらっしゃいだぴょん」

「ありがとうだにゃー」





(そういう店か)


店員の服装は、喫茶店としては普通だった。


が…


店員は、犬・猫・ウサギの耳と尻尾がついていて


言葉遣いが、普通じゃなかった。


「大蔵先輩って、部長と…、と、演劇部の部長と同じクラスだったんですね」

「そうだわん! 仲良しだわん」

「もしかして、俺や志貴の事…」

「よく聞くわん!劇見に行くわん」

「あ、ありがとうございます」


俺は大蔵先輩に頭を下げた。


その時、珍しく静かだった志貴が


「何で男でしかも先輩なのにこんなに可愛いわけ?」


と、小声で呟き、少し悔しそうな顔をしていた。


それから俺と志貴は裏方にいる部長に挨拶をして、店を出ようとした。


時刻は十一時。


これから、この店が忙しくなるであろう時間だった。


そして


「三名様御来店だにゃー」

「五名様御来店だぴょん」

「一名様だわん! シャレじゃないわん!」


響き渡る声に、ふと入口を見た俺と志貴は


そこにいる全員が知った顔である事に、揃って驚いていた。

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