《MUMEI》
硬直状態
(あ、あっちも固まった)


出口付近で立ち止まる俺と志貴に相手が気付いたのは


それぞれ席に着いた後だった。


そして、一斉に、全員が俺と志貴の名前を呼び


(あ、混乱してる)


それぞれ、別の席にいたメンバーとは初対面の為、全員が戸惑いの表情を浮かべていた。


「一応、挨拶と、紹介でもしとく?」

「紹介は任せた」

「約一名微妙だから頼んでいい?」

「了解」

「どこから行く?」

「年功序列で」


そして、俺と志貴は移動を開始した。


「「お久しぶりです」」


そう、声をかけた相手は、着物姿の五人組だった。


「久しぶり」


代表して、花のような笑顔を俺と志貴に向けたのは


昨年の劇の舞台となった商店街の一員である薫子さんだった。


「今年は、この五人で来たの。劇、楽しみにしてるわね。特に、田中君の着物姿」


薫子さんがそう言った五人とは


薫子さんの夫と娘


それに、去年も来た愛理さんとその夫だった。


(さて、次は…)


簡単な挨拶と他の二組への紹介を終え、俺だけが向かったのは、一人の男性客の席だった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫