《MUMEI》
教祖 高下
高下が真面目な表情で口を開いた。
「俺たちの作った輪から出た。ということは、彼らは俺たちの誘いを断った。つまり彼らは俺たちの?」
『敵』
きれいに全員の声が揃った。
そして、今度は二人の方をバッと向いた。
まるで軍隊だ。
「マジでどういう思考回路してんの?あんたたち」
「バカ、いいから逃げるぞ!」
今度はユウゴがユキナの腕を掴んで走り出す。
直後に響く銃声。
飛んでくるボーガンの矢と手榴弾。
まとまりのない攻撃が二人に降りかかる。
「んだよ、こいつら。
多分支給された武器全部持ってんじゃねえの?」
「ど、どうするの?」
「どうするって、逃げるしかねえだろ!」
迫り来る脅威を、間一髪のところで避けながら二人は走る。
しかし、高下たちは人数の多さを利用し、分散して襲って来た。
確実に追い込まれる二人は、逃げ場を失っていく。
やがて二人はアーケードの商店街で再び、高下グループに取り囲まれた。
「……殺らないのか?」
ユウゴの隣で顔面蒼白のユキナが息を切らせている。
「殺りますよ。えっと、次の順番は……」
「順番?」
「そう、俺たちは順番に子を殺して全員の目標数を確実に減らして行く」
「……そのやり方を口実に人数を集めたわけだ」
「集めたんじゃない。集まったんだ。この俺をリーダーとしてな。皆に、平等の報奨を」
高下の言葉に、その他のメンバーは歓声をあげる。
どうやらこのゲーム中に、新たな宗教が誕生してしまったらしい。
教祖は高下。
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