《MUMEI》 紹介「また会いましたね」 「あぁ、たまたま暇だったからな」 その男性 龍さんは、今日もスーツだった。 (こうしてちゃんと見ると、同じスーツ姿でも、忍とは違うな) 忍はモノトーンや黒ばかり好み、アクセサリーをほとんど付けない。 対して、目の前の龍さんは、今日はスーツは黒だが、紫のシャツを着ている上に、ゴールドのアクセサリーを首と腕に付けていた。 「こういうのが趣味とは驚きました」 「違う。…騙されたんだ」 「誰に?」 「昔からのダチ」 それから龍さんは舌打ちしたり、ブツブツ小声で呟いていた。 そんな龍さんを俺は 『ちょっとした知り合い』 そう、紹介した。 「どーも」 俺の紹介に龍さんはそれだけ言った。 (普通は怖がるんだろうなあ) 実際、三人組のうちの二人 松本と、石川は龍さんに少し怯えているようだった。 「大丈夫だよ、二人共」 そんな二人に残った一人 厳が、微笑みかけていた。 (相変わらず決まってないんだな) そんな厳を、志貴は 『親戚で、優柔不断な二股男』と紹介し、厳は珍しく落ち込んでいた。 前へ |次へ |
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