《MUMEI》
酒の力は恐ろしい
店を出て初めて気付いたが、俺は相当酔っていた。さっきまで気が張り詰めていたから、自分がどんだけ酔っていたのかわからなかったのだろう。
かなりフラフラで、視界もボヤけている。
そんな状態で真っ直ぐ歩ける訳もなく、途中でへたれ込んでしまった。
なんでこんな苛立ってんだよ…
ってかさっきの俺の態度マジありえねぇだろ。
朦朧とする意識の中で反省会が始まった。
もしかして嫉妬してた?
竜崎と楽しそうにしてる女に…
「俺、何やってんだよ。情けねぇ…」
ガキみたいな自分に笑いが込み上げてきた。
「ほ〜んと!何やってんだか!!」
ハッとした。頭上から聞こえる声の主を確かめようとゆっくり顔を上げた。
「竜…崎?」
そこには座り込む俺を見下ろすように、仁王立ちする竜崎がいた。
「まったく…急に出てっちゃうもんなぁ。捜すのに苦労したんだぜぇ。」
走っていたのだろうか?息が少し切れている。
「捜したって…別に頼んでねぇし。」
つい牙を剥いてしまう。
「用事って路上で寝る事だったの?」
竜崎はしゃがんで俺と目線を合わせる。
「お前………ろよ…」
「え?何?聞こえな…っ!!」
―ドサッ!!―
「その上目使い辞めろっつってんだよ。」
俺は酔いの勢いに任せて竜崎を押し倒した。
身動きが取れないように両手首を地面に強く押し付け、馬乗りになって今度は俺が竜崎を見下ろした。
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