《MUMEI》

『今回、光君はドラマと違う印象でしたね。』

司会が映画PRらしい質問をしている。


『はい、監督は俺を子役時代から知っていてこの映画では純愛をテーマにチンピラや不良ではない文学少年という新しい俺を開拓してくれました。』

思ったより真面目に答えてくれた。


『マイマイは逆に活発な役でしたね。』


『はい、沢山走るシーンがあって、途中で転んじゃってスタッフの皆さんに迷惑をかけてしまいました。』

マイマイと言われているのは飲料水のCMとかでよく起用されている清純派女優だ。
近くで見たらケバくて残念だな。


『今回、親が再婚して兄と妹となるということでしたがお互い演じるうえでお兄ちゃんとか呼び合ったりしたんですか?』

『あ、俺はマイマイって呼んでましたね。本物だ〜サインくださーいみたいなノリで。』

観客は彼の一挙一動に反応している気がする。


『私もお兄ちゃんとは呼べなかったですね、演技意外はこんなかんじで見たままの高遠光でした。』

確かに後ろのポスターの物憂げな二人とは思えない意志の強い表情をしている。

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