《MUMEI》 「──ねぇ、あたしここに来てから何年だっけ‥」 「5年とちょっと位」 「5年か──‥」 那加は、 しんみりした表情をしていた。 こんな那加の表情を見たのは、 久し振りだ。 「何よジロジロ見て‥」 「ぁ‥ぃゃ、そういうつもりじゃ‥」 「あんまり見ないでよ、恥ずかしいじゃない」 「ぇ」 「〜〜〜‥何よその顔っ、何か文句ある!?」 「ぃぇ、ないです‥」 「もぉ‥」 那加は、 プクゥ、 とほっぺたを膨らませて俯いた。 「日向、デリカシーないんだから‥」 「デリカシー‥?」 前へ |次へ |
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