《MUMEI》 拓磨視点『ありがとう』 そう言われるのは普通の事だが 俺にとって、志貴の言葉は特別だった。 (最初ムチャクチャ嫌われてたし) 正直、何故こんなに好きなのかわからない位、志貴が好きだ。 気が付いたら好きで 告白して、ふられてもまだ好きで きっともう、志貴以外好きになれないのかもしれない その位、好きだ。 だから、祐也に嫉妬した。 実は、今でもしている。 (祐也が志貴を恋愛対象として見てないのはわかってるのにな) 実は結構早い段階でそれに気付いていたが (やっぱり…嫌だ) それでも、俺は祐也に嫉妬する。 (志貴の事が無かったら、普通に友達になれたかもしれないけどな) 祐也がいいヤツだとわかればわかるほど、俺は嫉妬する。 (小さいヤツだよな、俺) 思わずため息が出ていた。 「拓磨? どうした?」 「何でもない。そろそろ休憩だよな」 「あぁ」 (いい席取らないとな) 俺は声をかけてきた守の横を通り過ぎ、急いで着替えを始めた。 前へ |次へ |
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