《MUMEI》

「ユキヒロと椎名は知ってると思うけど、」


「?」


「俺がキャプテンの時は、


秀皇に負けた。


もちろん今の秀皇と昔の秀皇は違うってわかってっけど、


やっぱ純粋にすげ〜と思う。


スカッとした。」


選手たちに話す翔太を、


クロは微笑みながら見ていた。


選手たちも笑顔だった。


「努力は必要だと思うけど、


たぶんお前らまだまだ強くなると思うよ。


うん。


…以上!!」


…ミーティングを終えた赤高、


そしてクロと翔太は、


再び体育館へ移動する。














「ガラッ…」


体育館へ入るクロたち。


「あれ?
もう始まってるかと思ったのに。」


試合は始まっていなかった。


「…なんか様子変すね。」


これまで、


試合数が多い為に起こるタイムロスを避ける為、


スムーズに試合を始めていたのにも関わらず、


赤高と秀皇大附属の試合から10分以上が経過しても、


試合は始まっていなかった。


ざわつく体育館。


クロと翔太は、


自分たちのせいで試合が始まっていないのかと思い、


急いでベンチに向かった。

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