《MUMEI》

「‥‥‥‥‥‥‥」





‥どれ位経ったんだろう。





那加は、

まだ俺を放さない。





そろそろ‥

心臓が本当にどうにかなりそうだ。





いつも、

俺は後ろから那加を抱き締めていた。





だから、

前から‥

抱き締めるならともかき、

抱き締められる≠ネんて‥

初めての事で‥。





「──ねぇ」

「ん‥」

「あたしの心臓‥ドクドクいってる‥?」

「‥ぁぁ‥」

「日向のもスゴいよ──」





──穏やかな口調だった。





優しい、

暖かな、

声。





何だか、

物凄く安心した。

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