《MUMEI》

「───────」





やっと、

那加は俺から離れた。





けど、

何を言うでもなく‥

するでもなく‥

ただポーッとして、

黙っている。





「那加──」

「‥ぇ?」

「何か──恋人って感じだなって」

「感じじゃなくて恋人なの」

「ハイ、姫サマ──」





──恋人=B





そのたった一言が、

キラキラした宝石みたいで。





その言葉を那加から聞けた事が、

凄く、

嬉しかった。




「日向」

「ぇ」

「痛かった‥?」

「いや──嬉しかった」





本当に、

嬉しかった。

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