《MUMEI》

並木道の桜は、今年も満開になった。





「綺麗──‥」

「──よう♪」





声をかけられて、私は振り返った。





「先生──」

「今日も早いなぁ」

「朝は静かだから──早めに来てちょっとゆっくりしようかなって」

「桜、見とったん?」

「──ぁ、はい‥」

「咲いたなぁ、満開や」

「ぁ、そろそろ行かなきゃだよね」

「せやな」

「──先生」

「?」

「約束──覚えてますか‥?」

「当たり前やん」

「──ありがとうございます」





あの時先生が言ってくれた言葉が、どれだけ私の支えになったか分からない。





本当に、ありがとう。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫