《MUMEI》

だんだん、

暗くなってきた。





時間まで、

あとちょっと。





那加は、

ケーキを喜んでくれるだろうか。





俺や霞家の両親からのプレゼントを──

喜んでくれるだろうか。





気に入ってくれるだろうか‥。





「どうしたのよ、日向」

「ぁ、ぃゃ‥」





俺は──

笑わなきゃな。





那加を不安にさせてはいられない。





「楽しみにしてろよ、那加──」

「日向に言われなくても、昨日から‥それより前からずっとそうだもん」





那加のほっぺたは、

やっぱり赤くなっていた。

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