《MUMEI》 ──夜、 7時。 夕食より、 少し早めに── 佳代子さんがワゴンを押して来た。 「お待たせ、那加ちゃん」 「───────」 那加の目は、 ワゴンの上の覆いに釘付けになる。 「日向君、お願い」 「ハイ」 俺は、 皿に被せられた覆いを取った。 「──ゎ‥!!」 那加が、 小さく歓声を上げた。 「かわいい──」 薔薇色に、 ほっぺたを染めて。 目を、 キラキラさせて。 那加は、 アイスケーキに見入っている。 「今年も、日向君がデザイン考えてくれたのよ」 「──別に、‥凄いなんて、思ってないから‥」 前へ |次へ |
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