《MUMEI》 アイスケーキにロウソクを立てて、 病室の明かりを消した。 俺と佳代子さんで、 バースデーソングを歌う。 ──歌が終わって、 那加がロウソクの火を吹き消した。 一息で。 「ひなたぁ、早く切ってよ」 「──ハイ、姫サマ」 ロウソクを抜いて、 アイスケーキにナイフを入れる。 「ちょ‥ちょっと、そんなにおっきく切らないでよっ」 「姫サマの誕生日ですから」 ニッコリ笑って俺が言ったら。 「〜〜〜〜〜〜‥」 那加は、 赤くなって、 それを隠そうとして俯いた。 前へ |次へ |
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