《MUMEI》

「娘をもらってやってくれませんか」

「!?」

「たぶん、それが千代子にとって幸せだと思うんです」

「‥あの、本当に‥宜しいんで‥すか‥?」

「詩郎君の所になら、喜んで嫁に行かせますよ」

「───────」

今‥

俺の事名前で呼んだ‥?

「あの‥」

「?」

「俺──‥」

「言っただろう?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「宜しく頼むよ、詩郎君」

「ふふっ、今から楽しみだわ〜」

「よし、縁談成立だ」

「──ありがとうございますっ」

──夢みたいだ。

本当に、

夢みたいだ──。

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