《MUMEI》
許容範囲
病室に足を運んだ。
「お早う沖島。
“お友達”が面会にきたよ?」
アラタが枕元に立っていた。
「廃工場の後すぐに襲われたんだって?
……顔見たんじゃない?
お口は、動きますか?
右手は、動きますか?」
医者の真似事をする。
アラタはペンを握らせた。紙を差し出す。
沖島の片目は隠れていなかったが顔に何かが被さっているようだ。
彼の方が顔がミイラなのに幾分は人間臭さがある。
沖島は震え出した。
何か、知っていると直感した。
まだ意識も曖昧で手も動かせない。
無理(アラタはどうだっていいのだが看護士には患者の体調第一とのことなので小芝居を打っておく)を言って面会を許してもらう。
紙にミミズ文字の平仮名が書かれた。
指からペンが落ちる。
「……あく…まが……」
カチカチと奥歯が鳴る。
神様の次は悪魔?
理解に苦しむ……。
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