《MUMEI》 「──先生」 「?」 「ありがとね」 「ぇ」 「親に話してくれて──ありがと」 「───────」 「先生?」 「よしっ」 「ぇ」 「指輪見に行くか!」 「はい!?」 佐原は、 素頓狂な声を出した。 かなり、 ビックリしたみたいだ。 「何も今から行かなくても‥」 「いや、結婚決まったからには選んでおかないとっ」 「せっかちなんだから‥」 「よしっ、今から行くか」 「ぇ〜? めんどいし‥」 「いいだろ? 見に行くだけならいいって──お前言ってたし」 「──分かった。じゃあ行こっ」 佐原は、 早速俺を引っ張って歩き出す。 その手が、 凄く暖かかった。 □■□ 前へ |次へ |
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