《MUMEI》
先生と婚約指輪
「──ぅゎぁ‥」


高そ‥。

「おーい、ちょっとこっち来てみてくれるか?」

「何?」

「これなんかどうだ?」

「ぇ」

「お前に似合いそうだし──」

「うーん‥」

「それとも──こっちがいいか?」

「───────」

「佐原?」

「先生が選んでくれるなら何でもいいよ」

「そうか? じゃあ──」

先生は、

一通りショーケースの中を見回してから、

「これとか──」

ある一つの指輪を示した。

「これ──ダイヤ?」

「ぁぁ、やっぱりお前にはダイヤがいいかなって」

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