《MUMEI》
厳視点
(志貴、ヒデーよ)


初対面の相手が多い中で、『優柔不断な二股男』と紹介されて、俺は軽く


いや


かなり、凹んでいた。


「厳君、大丈夫?」

「大丈夫?」

「あ、あぁ…」


(あんまり大丈夫じゃないけど)


俺は無理矢理笑顔を作った。


(俺だって、初めてで戸惑ってるんだよ)


今まで俺と頼を見分けられたのは


(祐也は男だから、別として)


女の子では、誰もいなかったのだから。


(何でわかったんだろう?)


くるみは、何となく動物的な勘が鋭そうな気がするが…


もう一人


可愛いけど、普通の女の子


美鈴が何故見分けられたのか、俺には不思議だった。


(一回訊いたけど、誤魔化されたし)


くるみは『勘だよ!』と即答したけど


美鈴は真っ赤になるだけで、何も答えてくれなかった。


実は


あれから、美鈴が気になってしょうがない。


(でもな〜、くるみも可愛くなってるし)


果穂さんの予想通り、くるみは日に日に成長している。


身長も、まだ伸びるだろうし、パーツは元々良いから、俺好みになるかもしれない。


(…やっぱり俺、優柔不断だ)

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