《MUMEI》

「貢食べないの?」
「あ?あ、う〜…」
あっという間に平らげた聖ちゃんはジュースで喉を潤している。
とても喉にモノを通せる状態じゃない。
心臓が口から出そうだ。
「何だか顔色悪いぞ?」
「ん、へ、ヘーキ…」
スプーンを掴み皿に充てるとカチャカチャと皿が鳴りだした。
もう皿引っ掴んでゴクゴクいきたい。
やっと口に運んでごくりと飲み込むと聖ちゃんと目があった。


「なー、本当に大丈夫か?部屋戻って横になった方が良くないか?」




「え?」




もしかしてここでやめて逃げられ……

「俺急いで食べちゃうから先戻ってなよ、なあ……」

「……、だい…丈夫…、ハハハ…」


聖ちゃんは…食う気マンマンだ……。



やっとの思いで食べ尽くすと同時にスペインオムレツ一皿と小さなラザニアが二つ運ばれてきた。


俺の前には真四角のラザニア皿。
聖ちゃんの前にはさっきのハッピィベアーの皿に……
広く伸ばされたラザニア!!

おそらく!おそらくだけど!小さい子が火傷しないようにいったん焼いたラザニアを皿に移して広げたんだろう。



つかこれはもう将来子供が出来たらここに泊まるしかねーだろ…。

細かい気配りナイスオーナーWWW



ついでに大人の料理も子供に分けてやれとばかりに空のハッピィベアーの小皿まで俺の横に置かれた。




オムレツの大きさどう見たって一人前。

ああ、ああ……



さすがにばれたか…
「貢…」

「はい…」


もう聖ちゃんの顔見れねー…。

「交換するな…」

「…はい…」


当然だ。
つか、その方が有り難い…。


カチャカチャと動かす音。
そして聖ちゃんの声。

「まったく貢は本当猫舌だな〜、まさかここまで我が儘に注目してるとは…
全く遅れちゃったのますます申し訳ねーよ…」

「!!」


ハッピィなラザニアが俺の元に、聖ちゃんはオムレツを6等分にナイフで切り分け、テーブルの中央に置いた。

なんか…


微妙に切り抜けてる……。



辺りを見渡すとデザートの焼きプリンを食べだしている。




つか、


あれは次のはず…


いや、ここはグラタンやら焼きプリンやら焼きモノを売りにしたペンション。

皿はもしかしたら違えども二人分伊勢海老のグラタン…



来るよな!
頼むから来て下さい!!

「さ、冷めて美味しい…」
「よかったな、ここのラザニアスゲー美味い」


ああ…

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