《MUMEI》
彗星のように
「何してんだろ?」


「始まんないね…」


「次が最後でしょ?」


「のはずだけどね。」


夕方になり、


ギャラリーも減り初めていたが、


自分たちの学校の試合ということもあり、


残る生徒も少なくなかった。


他県から来ていたチームの選手たちも、


特に目立っていたチーム同士の試合ということから注目していた。


海南クラブにとってはアウェイでの試合であったが、


赤高の試合をきっかけにクロたちの応援をするチームもあった。


「お〜いクロ!!
頑張れよ!!」


「任せて〜!!」


コートに向かうクロに、


今日会ったばかりのチームの選手たちが声をかけていた。














(頑張って。
小太郎。)
















「クロさんたち勝てるかな?」


「大丈夫だろ。」


「クロさんに、


ヤマトさん、


翔太さんと恭介さん、


それに…」


「猪狩もいるしな。」


「…うん。」
















アップを終えたクロたちは、


コート中央へと向かう。


「クロ!!
ヤマト!!」


自分たちを呼ぶ声に振り替える2人。


「あっ…
ども。」


「ちっす。」


2人に声を掛けたのは、


秀皇大学キーパーの泉だった。


「よろしくな。」


「…お手やわらかに。」


赤高時代の先輩に緊張する2人だったが、


「ん…?」


笑顔でクロを見る男に目が移る。


(…何?)

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