《MUMEI》

「う、ん‥」

そうかも。

いや──

そうだ。

あたしは、

ラッキーなんだ。

だって‥

こんなにいい彼氏がいるんだもん。

「でもさ、奇遇だったよね」

「奇遇?」

「あたしがあの高校に入ってなきゃ、あたしは先生に会わなかった訳だし」

「確かに、そう考えると不思議だよなぁ」

「ね?」

「ぁぁ」

先生はしんみりしたみたいな顔で頷いて、

ふっとあたしの方を向いた。

「教会も今度見に行こうな」

「ぇ、教会‥!?」

「式挙げる場所も決めておかないとさ」

「‥指輪買ったばっかりじゃん‥」

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