《MUMEI》

暫く、

2人で夜桜を見上げていた。





ザァッ、

と風が吹いて、

花びらが舞う。





「ぅゎぁ──」





那加の、

ワンピースと同じ色。





小さな花びらが、

一枚──

那加の髪に付いた。





「きゃッ!?」

「ぇ」

「何でいきなり頭触ってくるのよっ」

「花びら付いてたから──‥」

「そッ‥そういう事は何か一言言ってからにしなさいよっ」

「‥スイマセン‥」





確かにそうだよな‥。





いきなり触られたらビックリするよな‥。





「悪かった‥」

「‥別に、怒ってる訳じゃないもん」

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